インターネットの登場によって、マスメディア以外の業種でも自家製のメディア、編集能力を持つ人材とノウハウさえあればかなり性能の高いメディアが制作できるようになりました。
現状「自社サイト」と呼んでいるものでも、編集部機能をつけることによって、よりポテンシャルが高い、ビジネス上にも有効なメディアへの格上げが可能になります。現場で実現すれば、「メディアに広告を出す」という発想は劇的に変わります。
実際に、自社サイトのメディア化によりプロモーション戦略全体を変えた企業も見られます。
今回は、「メディア」の定義が変化しているなか、インターネット上でできることを考えてみましょう。
マスメディア以外の一般企業だけでなく、個人でもオリジナルのメディアを制作できます。企業のようなウエブサイトを作ることも可能ですし、あるいはブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)がそれにあたります。
検索エンジンやポータルサイト、もともとマスメディアが提供するウエブサイトなどと、個人のブログサイト(の集合体)は、規模の違いこそあれ、ビジネス上では、ほぼ同じ枠組みで捉えられます。一元的な発信ではなく、多数の個人による送受信でコンテンツを構成しているという意味では異なりますが、ビジネス上では、広告をどれだけ掲出できるかというマスメディア的な尺度で測られます。
これは、インターネットをビジネスとして運用している広告代理店が、インターネットが登場する以前の従来の業務パターンに当てはめたままで考えていることが大きな理由でしょう。若干の違いこそあれ、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞といった4マス媒体の広告を売るパターンをインターネット向けに応用したに過ぎません。
技術の進化によりメディア自体は「自家製」が可能になったのですが、そこから先は、思ったより進化していないのです。(小林茂雄)
▼執筆者プロフィール
《こばやし・しげお》
早大卒業後、1988年リクルート入社。創刊を含めた情報誌全般の業務に関わる。ソフトバンク、ヤフー、アクセンチュアを経て、株式会社シープロド設立。企業のネット利用をプロデュースする一方、文科省プロジェクトで起業家育成にも携わる。
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